森林再生への新たな挑戦 ラマンドー 緑の回廊

 

僕にとって1年ぶりに訪れるラマンドーで動きがあった。FNPFの新たな挑戦の土地、ラマンドー・ネイチャー・レシーブ(ラマンドーは地域の名称だとのこ と)は、その名前と裏腹に、たびたびの火事に見舞われ(西岡さんと前川さんが8月に訪れた時にまさに火事がおきた)小さい森が点在しているものの、大半は 乾燥していくつかの草以外は生えない荒廃した土地である。2年ほど前にバスキに公園管理者から依頼があり、FNPFがここに森を復活させようとしている。

 

 

バ スキは、小さな森を繫いで、グリーンコリドー(緑の回廊)を作る計画をした。今、取り組んでいる回廊は幅が30Mで3Mおきに(つまり10本)の苗を 2KMの長さにやはり3Mごとに植えていくというものだ。本当は2Mごとにしたいらしいのだが、人手を考えるときびしいという。この回廊の役割の一つは、 動物が移動できるようになるということ。もう一つは、ここをグリーンベルト、すなわち火事が広がるのを守るようにしたい。植える木は9種類。・・ 特に Balangaran,Pelawan、Ubarの3種を中心に植える。タンジュンプティンと違うのは、この乾燥した土地で育つにはそれに適した苗を選ば なくてはならない。

 

 

植 え方は、まずロープと木で図った3Mおきに苗をおいていき、そこに鍬で小さい穴をほる。そこに苗を置き、周りの草の生えている部分の黒土を掘り、かぶせ る。草の生えている土は栄養がある可能性が高く、草をかぶせることで自然の肥料の役割がある。苗の周りが壕になるように彫ることが望ましい。ここに水がた まるからだ。一番の課題は火事だ。消火器のようなものが欲しいがお金がかかる。また豚がえさとなる小動物を探す際に土を掘り起こしてしまうという問題があ り、いくつかの苗は被害にあっていた。

 

 

さ て、大きな動きのもう一つは、僕が訪れた時に、この地区のそばにあるSungai.Paser(sandの意味)スンガイパサール村の若者が10人ほど植 林に参加していたことだ。パサール村は、ハラパン村の10倍の1000家族ほどが住んでいる比較的大きな村で。最近、新しい村長が選出された。漁業が中 心。プランテーションはない。(まだ、だが)。

 

ジョークが好きな明るい村人らしく、僕が訪れた時もわいわい楽しそうにやっ ていた。聞けば、以前バスキが体調が悪かったときにハドランたちがヘルプで呼んできたらしい。このプロジェクトに興味があるようだ。3日前から約2週間ほ ど予定。FNPFは彼らに1日50.000RPを支払っている(食費などを入れると70,000RPくらいの経費がかかる)。彼らの多くは漁民だが、ちょ うど魚を育てている時期で時間があるという。他のNGOが支払う額より安く、彼らの月収と比較するといい額とはいえないと思うが、上記のようにプロジェク トそのものを楽しんでいる印象がある。しかし・・、お金はよい手段ではないとバスキはいう。お金でプロジェクトを動かそうとするのは将来における大きなミ ステイクである。ほとんどのNGOが、森林再生に多額のお金を使う。時には10億ルピー(約1千万円)も。しかしうまくいかない。ほとんどは職員のサラ リーに消えていく。FNPFは村人に対してお金をかける。彼らのアクティビティを後押しする。バスキはゆくゆくは、ハラパン村のように彼らにグループを 作ってほしい。そして苗を売ったり、植林をすることが収入につながり、彼ら自身がそれをマネージメントすることが理想である。

 

僕 にはそれが可能だと思う。彼らは非常に植林に熱心であり、話し合い解決する能力を持っている。和気藹々と、だが勤勉に植林を続けている。タンジュンハラパ ン村から遠いこの土地に村人が来ることはコストもかかり、苗を運ぶこともできない。はじめから、この土地を森に再生させるには、となりの村人がキーになる と思っていたが、早くもバスキはそのきっかけをつくっていたからびっくりだ。

 

 

FNPF は今年、BOING社から3年間のケアを条件に400millionルピー(約400万円)の植林用のドネーションを得た。これはラマンドーにも使える。 また、オーストラリア のTarungaZOOからの寄付で、2つのコンポストマシーン、モーターサイクル、トラクター、ビデオカメラを買うことができた。SIEES、日本の Eco-future-fundからも援助があり、これは使いやすく有益である。使える資金は増えてきた。バスキは言 う、必要なのは、プログレッシブであると。

 

さて、以上の村人のかかわりとプログレッシブが必要となった時、ちょうどウータ ンが作ろうとしている植林冊子のことがある。新しく村人に長期的に関わってもらうチャンスにアレックスのイラストでの植林冊子は動機付けとして、とても有 効だろうとバスキも同意した。動機付けといえば、ウータンメンバーはエコツアーメンバーがたびたびこの土地を訪れ一緒に村人やFNPFと植林をすることは 非常にいい影響を与える(ボーイング社は好きにしてくれというが一度も来た事がないという)他のファンドにはないウータンならではの関わり方、プログレッ シブを実践していかなくてはならない。

 

ラマンドーにパサール村の人々が常駐し、植林を続ける。そこにウータンからもメン バーがいったり、エコツアーで植林グループがいくのも面白いだろう。荒廃したこの土地にまた一つの夢が生まれた。ここが10年後、20年後、森になってい ることを想像するととても楽しい。想像は夢を生む。だが、それは夢ではなく、おそらく現実となるであろう。