―②違法材で利益を得るマレーシア、シンガポール、

 

A)マレーシアーー最大量の違法材取引

 

   マレーシアは、国内の森林と国内の木材生産量が減少したが、同国の木材加工産業は巨大な生産能力を維持し続けている。熱帯木材の輸出額が年間約25億ドル(約3000億円)、木製家具の輸出が約10億ドル(約1200億円)以上に上る。業界はインドネシアで違法に伐採された木材の輸入に依存している。

例えば、ラミン材でも2005年5月末日にHPで販売を記載している企業が多々見受けられた。2005年1月12日、マレーシア木材協会が「ラミンの御触れ」を出していてもである。

 

半島マレーシアやサラワク州、サバ州のそれぞれの港やカリマンタンとの国境からは、毎年300-400万m3の違法なインドネシア材がマレーシアに流れ込んでいると推測されていた。

 

2000年から3年間、EIAとTelapakは、サラワク州のセマタンやルボック・アントゥ、タビドゥ、マレー半島西岸のジョホール・バル、ポート・クラン、マラッカ、バトゥ・パハ、東海岸のクアンタンなど各地において、ラミンを含む違法なインドネシア材がマレーシアに持ち込まれていることを報告してきた。

 EIAとTelapakが20008月、サラワク州でした調査では、州営企業であるSarawak Timber Industry Development CorporationSTIDC)の一部門であるHarwood(ハーウッド)社が、カリマンタンから入手した違法材を加工している実態を明らかにしていた。  

後日、私たち・ウータンも現地を訪れ確認した。同様に、インドネシアからの木材はセマタン、ルボック・アントゥ、タビドゥの3ヶ所以上に運ばれていた。

ハーウッド社は、木材を分類して書類を発行するために13あたり22リンギット(約700円)を徴収するらしい。Sematan(セマタン)の港では、インドネシア国旗のインドネシア船から沖合いの停泊している巨大なバージ船に木材を運び、そこからマレーシアの船で粗く挽かれた製材がセマタン港のハーウッド社の施設に降ろされているのが見られた。これは国際熱帯木材機関(ITTO)のNews Letterにも掲載されている。  

ウータンの調査では「毎日、インドネシアから運んでいる」とのことを関連会社の1員からも聞いた。

海路で船に運ばれ、セマタンからクチンの木材工場に向けて、1日に約60台のトラックが出発し、そこからシブ、タンジュン・マニス港へ運ばれ、半島マレーシア及び海外へ輸出されるのが確認されている。

一方、ルボック・アントゥでは、西カリマンタン州との国境近くのハーウッド社の施設に大量の木材が積まれているのが発見された。残念ながらウータンでは詳しく確認できなかったが、インドネシアNGOらの情報によると、毎日50台前後のトラックが国境を越えているという。ルボック・アントゥ付近の地域にある製材工場は、ハーウッド社の関連であると言う。

 

 「2002年6月、インドネシア当局は、西カリマンタン州からサラワク州へ国境を越える違法材を積んだ15台のトラックを捕まえた。インドネシア当局は、エンティコンという国境において、1日に100台以上のトラックがマレーシアに向かっている」と話している。当局は、毎月50万m3近くの違法材が西カリマンタン州からサラワク州に入っていると推測している。

 

  2001年86日にラミンのワシントン条約への登録が発効した後、TelapakとEIAはマレー半島西岸の調査を行った。

Batu Pahat(バトゥ・パハ)港では、インドネシアの国旗を掲げた小さな木製の船から印の付いていない丸太の荷降ろしが行われているのが見られた。E.S.Ng Holdingsという会社の木材置き場で見られたインドネシア船の乗組員は、木材はカリマンタンからのラミンであることを認めた」という。半島マレーシア中部のマラッカでは、いくつもの小さな船がラミンを含む丸太の荷降ろしをしているのが見られた。船の乗組員は、「木材はマラッカ海峡をはさんだインドネシアのリアウ州からのものである」と話した。

 

2004年4月のTelapakらの調査では、今度は違う場所で違法材が運ばれていたと。「クアラ・リンギ港は静かになっていたが、Muar (ムアラ)でスマトラからの違法材を

満載したインドネシアの木製の船が32隻見られた。船の多くはインドネシアの国旗を掲げており、すべての船の乗組員がインドネシア人であった。現場の人の話によれば、木材は全てインドネシアからのものだった。10隻に1隻ほどがラミンを積んでいる。華僑の街・バトゥ・パハでは、インドネシアの国旗を掲げた船から丸太が荷降ろされているのが見られた」とTelapakが報告している。

 

 

B)シンガポールーー再輸入・再輸出基地

 

2000年Telapakが来日し、彼らと大阪の岸和田港でラミン材を確認した時、シンガポールからのラミン材だった。

シンガポールもまた、違法なビジネスの中枢である。国内には森林がないにも関わらず、シンガポールからも輸出されている。1つの理由は、マレーシアの港は浅い所が大半で、大型船で輸出するにはシンガポールが最適だから。

 

隣国からの木材のほとんどはシンガポールを経由して東アジアやヨーロッパ、アメリカなどの巨大市場に向けられるのだ。その企業の工場の一部は、karanji地区、Julong地区、そしてマレーシアのJohor Bahru市外にあるが、オフィスが中心だ。

 

   シンガポールの国内法で、ラミン材をワシントン条約の対象とするのに5ヶ月かかったといわれる。登録後数ヶ月経って発効した後も、インドネシアの業界のある人は、 インドネシアの違法なラミン材がシンガポールに輸出されて合法化され、再輸出されてインドネシアのラミン工場にも運ばれていると。これは2001年、2002年にシンガポール向けのラミンや他の違法材がインドネシア当局によって何度も押収されていることによって裏付けられている。

 

   シンガポールの税関統計からもシンガポールが違法なラミン材貿易に関わっていることが確認される。ラミンがワシントン条約に登録された2001年8月から2002年11月までの16ヶ月間に約19000m3のラミン製材が再輸出されたと記録されているが、同じ期間の輸入量は6000m3しかなく、全てマレーシアからのものだった。余分の量については、製材用丸太の入荷はなく、在庫から得られる可能性はない。

13000m3の差は申告されていない、違法輸入、密輸以外に説明できないのだ。アメリカの通関書類の分析によっても、2001年9月から2002年7月までの間に300万ドル(約36000万円)相当以上のラミン材がワシントン条約の許可書なしに、シンガポールを出航または経由してアメリカに到着していることが示されている。

 

 Telapak, EIAが動きだしてやっと2002年10月、シンガポールの税関は秘密情報を得たらしい。「スンガイ・カドゥ工業地帯にある木材会社を捜査し、インドネシアから違法に輸入した120トンのラミン製材を発見した」と。

しかし1度だけの取締りでは違法な貿易を止めることはできなかった。2003年4月、税関が調べた場所と同じ通りの木材置き場をEIAが調査したところ、インドネシアの違法ラミン材が見られた。その工場長は、賄賂を払って入手した許可書を使い、さらに許可書に記載されている5倍の量を輸入していると説明した。この工場からは、1ヶ月に34つのコンテナの量の違法なラミン製材を、樹種を偽って中国に向けて再輸出しており、ラミンの一部は半加工品としてアメリカにも輸出しているという。

 

 インドネシアからのラミン材の直接輸出はイタリアが1位を占めている。最近の事例ではどうも中国が1位になりそうである。ラミンに次いで問題となるのがメルバウ、そしてウリン(ボルネオ鉄木)だ。Telapakらは保護種への登録を求めている。

 この2種は日本では最近、ガーデン用のデッキ等に販売されている。日本で使用されるメルバウ、ウリンも最近の調査で、シンガポール、半島マレーシアに同様に運ばれてきている。ラミンのように大半が密輸材でなければ良いが、、、、。大半はTelapakの指摘どおりのようだ。