日本の森林保全と有効活用を
「フェアウッド」 公正な木材利用を
【合法材使用が世界的な潮流へ】
持続可能な経営を「目標」としていた各国もあったが、阻害原因の最大が違法伐採・違法貿易だった。私たちは2000年、日本の熱帯林保護NGOと海外団体に呼びかけ、政府・国際熱帯木材機関(ITTO)に違法伐採・違法貿易停止・調査等を依頼した。私たちウータンは、1999年インドネシアのTelapak(テラパック)の講演後、大阪の岸和田港で違法ラミンを発見!その後英米NGOのEIAやTelapak等と情報交換し、違法伐採・違法貿易の調査や違法材停止・熱帯林保護ヘの活動を行った。
【やれば出来る!違法材ラミン材停止キャンペーン】-これは、2004年から取り組みだし、2006年9月、375社と世界で事例がない停止数となる。企業が変わりだす!「環境配慮している」と宣伝し、実践することで消費者の眼も変わり、購入が進むと。だがラミン材の机を『グリーン購入適合品』と宣伝の企業を判明。同社にも停止してもらう。 グリーン購入でない場合、はっきりさせることだ。
2007年2月メンバーが、インドネシアのラミン材の主取引する木材市場で、「ラミン材取引不可」と現場調査で聞取り。同年4月に日本企業は500社が停止。2007年6月、【違法ラミン材使用停止宣言】を表明、後2-3年で世界のラミン停止出来ると。最終的に2008年末に700社が停止となる。
国際的に環境改善する流れが強くなってきた!ボルネオ島ではインドネシアから違法材や密輸材の取引が激減し、EUや米国、日本でもフェアな木材を使用することが2006年頃より進みだした。NGOsが違法材取引を調査し、各政府に申入れ、国際機関でも違法材取引の調査を始め、対策を打ち出した。インドネシアでは2006年から違法伐採業者の摘発・逮捕が始まり、2010年5月、ユドヨノ大統領は2年間の森林伐採を凍結することを表明した。ボルネオ島では、違法伐採は地方でまだ少し行われているが、違法材取引のピークの2000年に対し85%と激減した。
アフリカや南米諸国も違法材停止に向きだしている。しかし、まだ日本へ違法材が流入している。税関の人手が手薄であり、輸出国でも合法材に意識を持たないサラワク州の木材企業が多いため、ロシアや中国での違法材対策が薄いためだ。今こそ、日本で認証県産材を中心にして、合法材のみを使用する姿勢を明確にすれば、国産材利用が進みだすだろう。
【認証県産材、FSC認証材使用を】
2001年からウータンで違法材排除・国産材有効活用をあげ、2002年から各県ヒアリングをした。岩手県では国産材活用につき公正取引委員会から「Domestic Wood認証はWTOに抵触する」と言われ混乱していた。私たちは「Domestic Wood認証があかんと公正取引委員会が言い続けるなら問題化する。それなら岩手県は〈地方材〉として売り出せば良い」とアドバイス。その後同県は「岩手県産材」として日本国内に販売し出した。2009年には宮崎県産材、2010年には青森県産材を中国に輸出し出した。
2010年6月、政府は[21世紀の日本の復活に向けた21の国家戦略プロジェクト]を打ち出し、林野関連では「森林・林業再生プラン」や「公共建築物等木材利用促進法」(以下「公共建築物利用促進法」と記す)により2020年に国産材利用50%を目標にしている。国産材振興・木造化を中心とした政策を国は進めようとしている。「公共建築物利用促進法」では非木造化を指向してきた過去の考えを転換し、公共建築物については可能な限り木造化または内装等の木質化を図る」とうたわれ、基本方針では①公共建築物で使用される家具等、②木質バイオマスを燃料とする暖房器具・ボイラー等の導入、③合板材に活用等だ。地方自治体では、独自立案して入札を取れば、資材納品・着工に結びつき、国産材利用が進む。いかに情報を得て、市場を組み立てるかにもかかっている。
温暖化問題をみると、各種の製造エネルギーは人工乾燥製材品が1㎥に対し、アルミは786倍、鋼材は190倍、コンクリートは4.3倍である。その上海外からの輸送エネルギーもかかり、最低でも6-7倍である。全米林産物製紙協会の研究データでは、生産・消費エネルギーは木造に比べ、鉄骨造りは12%、RC(鉄筋)造は20%多く、温室効果ガス排出は木造に比べ、鉄骨15%増、RC造は29%多いという。日本でもLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)につき日本建築学会を中心に研究され、1997年に『気候温暖化に関わる建築学会声明』が出され「LCのCO2を30%削減し、耐用年数を3倍にする対策を採用すべく運用エネルギー消費量を15%削減しない限り、日本の温室効果ガス削減目標は到達できない」と提言されている。
近年、海外でも木造化を見直す方向にある。カナダのBC州では09年10月に[木材優先法]を制定し、新規の公共建築物については原則木造にする方針を決めている。木造建築物がCO2を貯蔵する機能を重視したから、公共建築物だけでなく、中層建築物(4-6階)でも積極的に木材を採用し始めている。米国では4階建てアパートは鉄骨造やコンクリート造りと比べ木造が建設コストも割安で主流になっている。EUでもCO2を吸収・固定する木造を見直し、積極的に使用を促す方向にもなりつつある。