温暖化防止を2

インドネシア中カリマンタンの泥炭湿地の自然発火で燃え出す家
インドネシア中カリマンタンの泥炭湿地の自然発火で燃え出す家

 

泥炭湿地の保全を!

 

早生種でなく原生種の植林を!

 

 

泥炭湿地火災が止まらない

         ・・・《2009年9月Report

 

泥炭湿地に約4ヶ月ほとんど雨が降らない。2009年9月30日、森が近くにある村でも、水浴びに使う水が不足している。以前、森が大半だったが、インドネシア・カリマンタンではメガ・ライス計画などの開発で土壌の状態も変わった。

湿地の下にある泥炭が乾燥し、何かの原因があって、泥炭湿地が広大なカリマンタンのあちこちに火災が広がる。大阪ー横浜間の約400Kmで、火を消しても燻り続ける大地と森。飛行機も当然飛べない中での調査だ。

視界も利かず、車も日中からライトを灯し運転する中カリマンタンの州都パランカラヤ市周辺。一面からいぶされたスモッグが天を覆い、太陽は朝から昼を過ぎても見えない。森があった一面は消え、灰色の光景からCO2(二酸化炭素)が大量に排出されている。インドネシアが世界第3位のCO2を大量排出する国と、2007年温暖化防止バリ会議で報告されたが、ここに来て体感出来る。

――あの向こうの家の手前からも火が出ていますが、大丈夫ですか。

 「判らない。あちこちで燃えているので、消火する人数が足りないからだ。水もホースも足りないからだ。私たちも泥炭湿地の火災で、疲れきってしまった。」

「畑に火を点けていないのに、この火災だよ。何てこった!!

 この2-3日は特にひどい。夜間はまだマシみたいだが、朝から夕方までずっと火災のスモッグさ。 土地が燃えて、一日中煙が立ち込めるのさ。どうしたらよいのか、、。 家も大事だが、収入源のゴムが枯れそうだよ。このままでは枯れる」と住民。

 

スハルト政権で考案されたメガ・ライス計画に巨大な資金が投入されたが、やはり米作りに大半が適さず、アブラヤシ開発に変えられた。広大な地域で米作りをする人々も少なく、地方政府の政策で湿地での米作りよりアブラヤシ開発のほうが楽ということもあり、多くの畑地が大資本所有のアブラヤシ農園になった。さらに無計画な大規模運河の設置と森林伐採が行われた。大地は何日も何日も燻り続けている中カリマンタンでは、大量のCo2を排出し続けている。日本の大都市からのCo2発生量と比べものにならないくらいの泥炭湿地からの異常な排出量だ.

主要な熱帯の低湿地・泥炭は、東南アジア島嶼(しょ)部、アマゾン、中央アフリカに存在する。熱帯の低湿地・泥炭の炭素蓄積量(二酸化炭素換算)は、全体で3,070億トン、東南アジア島嶼部は泥炭が深いため約70%も存在し、インドネシアで世界の熱帯泥炭の約半分の1,950億トンが存在するという。

(Maria Strack ed., 2008: Peatlands and Climate Change. International Peat Society, Wetlands International報告)

これまで熱帯の泥炭地は有機物を集積し、炭素の貯蔵庫としての機能を果たしてきたが、この乱開発で、巨大な炭素放出源に転じている。オランウータンも火災で被害。

「私たちが実施のオランウータン保護も必要だが、火災停止は今や緊急課題」とボルネオ・オランウータン・サバイバル(Borneo Orangutan Savival)やフレンズ・オブ・ナショナル・パークス・ファンデーション(Friends of National Parks Foundation)バスキ氏が指摘する。

 ウエットランド・インターナショナル(Wetlands International)インドネシアのニョマン事務局長は、

「わずか1%破壊しても(実際にはそれ以上のスピードで破壊が進んでいる)、世界の化石燃料による二酸化炭素の10%が放出される。1997-98年のエルニーニョにより、主に泥炭の火災で膨大な炭素が放出され、他の火災と併せて通常の大気二酸化炭素増加速度の約2倍になった。熱帯泥炭地から少なくとも化石燃料による全世界の二酸化炭素放出量の数%が今も恒常的に排出されている。

 

第1に、気候変動を防ぎ、雨をもたらす原生種の森の再生が必要だ劣化した泥炭湿地の植生を再生する。

2番目は違法伐採を全て止めることだ。カリマンタンの奥地やスマトラ島でまだ違法伐採が続いている。

3つ目は、泥炭湿地のアブラヤシ開発の停止である。加えて、泥炭湿地の開墾の目的で火を使用することをやめることである。

4番目、地域住民が参加し、考案する地域活性化のマスタープランの策定である。

5番目に、既存の物の改変と消火体制作りと、複数部門、複数の利害当事者の協力だ。

そして先進国のCO2排出量の大幅削減が温暖化防止に必要」と言う。

「森林再生は必要だが、ユーカリやアカシアなどの早生樹でなく、地元産の原生種を植えることを拡大すべきで、私たちは実施している」とニョマンさん。

 

私たちにできることは、温暖化防止に出来るだけ貢献しないようなあり方と、早生樹でなく、地元産の原生種を植えることをPRすることや、アブラヤシ開発推進に繋がらないように政策に組み入れることではないだろうか。 

 

       (写真/Wetlands Internationalの植林再生の取組み)